監修:聖マリアンナ医科大学 小児科 准教授 勝田 友博 先生

新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症はどんな病気?

新型コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2:新型コロナウイルス)によって引き起こされる感染症です1-4)。ヒトに感染するコロナウイルスは、一般的なかぜの病原体(感染症を引き起こす微生物)として人類に広く蔓延している4種類、動物からヒトに感染する重症肺炎ウイルス2種類、2019年に発生した新型コロナウイルスがあります1,2)

感染経路

新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は、感染している人のせきやくしゃみなどで飛び散った小さな唾(つば)のしぶきを吸い込んで感染します(飛沫感染:ひまつかんせん)1-3)。飛沫より細かな粒子が含まれた空気からも感染することがあり(エアロゾル感染)1,3)、換気が悪い屋内では、感染者から遠い場所にいても感染することがあるとされています1)。また、ウイルスが付いた手指で、そのまま口や鼻や目を触ることで感染することもあります(接触感染)1,3)

どんな症状がでるの?

新型コロナウイルス感染症は、のどの痛み、鼻水・鼻汁・鼻づまり、だるさ、発熱、筋肉痛といった、インフルエンザに類似した症状が出ます。感染してから症状が出るまでの期間は2~14日(中央値:起源株は5日、オミクロン株は3日)とされています4)。2021年末にオミクロン株(新型コロナウイルスの変異ウイルス)が発生し感染が拡大して以降、嗅覚・味覚障害の頻度は減っています1)
多くの人は回復しますが、以下の人は重症化リスクがあります1,3)

  • 2歳未満の子ども
  • 基礎疾患のある患者
  • 妊婦
  • 高齢者
など
発症後に症状が2ヵ月以上続く罹患後症状(いわゆる後遺症)を抱えてしまうこともあります1)

気になる症状を相談できる診療科

インフルエンザの症状に似ているため、症状で新型コロナウイルス感染症と判断することは困難ですが、初期はのどの痛みが特徴とされています1)。受け入れ体制は医療機関によって異なりますので、電話をしてから受診するのがよいでしょう。

【子ども】
かかりつけの小児科などに相談してみましょう。

【大人】
まず、かかりつけの内科などへの受診をご相談ください。

新型コロナウイルス感染症ワクチンについて

ワクチンの役割

ワクチンを接種することで、重症化の予防が期待できます1)

ワクチンを接種したいときの診療科

新型コロナワクチンは、特例臨時接種下であった2024年3月までは、集団接種会場のほか内科・小児科をはじめ多くの医療機関で接種できました。2024年4月以降は、新型コロナウイルス感染症は予防接種法のB類疾病に位置づけられましたので、2024年秋冬から高齢者等を接種対象とした新型コロナワクチンの定期接種(2024年4月~秋冬までは任意接種)が開始となり、今後は接種可能な場所は限定されることが予想されます。

【子ども】
接種を希望する方は、かかりつけの小児科などに事前にご相談ください。

【大人】
かかりつけの内科などに、準備体制や在庫等、事前に相談してください。

なお、厚生労働省がホームページで接種についての情報をまとめています。

【厚生労働省 新型コロナワクチンについて 皆さまへのお知らせ】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

新型コロナウイルス感染症を予防するワクチン

新型コロナワクチン(注射)は、オミクロン株に対応した1価ワクチン(XBB.1.5)があります。

定期/任意接種、接種費用、ワクチン接種のタイミング

新型コロナワクチンの全額公費による接種は2024年3月31日で終了しました。2024年度は、65歳以上の人および一定の基礎疾患を有する60~64歳の人で一定の条件を満たす人は秋冬に自治体による定期接種が始まります。2024年秋冬の定期接種開始前に接種を希望する人は、任意接種として接種することができます。また、定期接種の対象者以外(子ども、大人)が接種する場合も、任意接種となります3,5)。新型コロナワクチンは、定期接種においても原則として費用(自己負担)がかかります(定期/任意接種についてはこちら)。

【定期接種:大人】
以下の条件に当てはまる人は、2024年秋冬に定期接種を受けられます。なお、新型コロナワクチンの定期接種は原則有料です5)

秋冬以外は任意接種となります。

ワクチンの接種率

新型コロナワクチンを1回以上接種した人の割合は80.4%でした(2024年4月1日公表)6)

ワクチンの副反応

新型コロナワクチンの主な副反応としては、接種部位の痛み、発熱や頭痛、疲労、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、アナフィラキシー(急性のアレルギー反応)などがあります。また、心臓に関連した病気(心筋炎、心膜炎)、などが起きることがあります7)

  • 1) 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第10.1版,2024年4月
    https://www.mhlw.go.jp/content/001248424.pdf 2024/5/2参照
  • 2)国立感染症研究所:疾患名で探す感染症の情報 コロナウイルスとは 
    https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html 2024/5/2参照
  • 3)日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」:B-14 新型コロナワクチン2024/04作成 ver.2
    https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_B-14shingatakorona_20240401.pdf 2024/5/2参照
  • 4)Kimberlin DW, Banerjee R, Barnett ED, Lynfield R, Sawyer MH. Red Book: 2024-2027 Report of the Committee on Infectious Diseases. American Academy of Pediatrics. 2024
  • 5)厚生労働省:新型コロナワクチンについて
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html 2024/5/2参照
  • 6)厚生労働省:新型コロナワクチンの接種回数について(令和6年4月1日公表)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/syukeihou_00002.html 2024/5/2参照
  • 7)厚生労働省:新型コロナワクチンQ&A
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_qa.html#1 2024/5/2参照

2024年9月作成 VAC46O029A