ワクチンを学ぶQ&A
予防接種について
いずれも感染症を予防する重要なワクチン
定期接種、任意接種、臨時接種の違いは制度上のものであり、いずれも感染症を予防する重要なワクチンです1)。
定期接種および臨時接種は「予防接種法」に基づき自治体が実施主体となって行う接種で(費用は自治体または国が負担)、任意接種は希望者が任意で行う接種のことです。
「定期接種」は法律で接種することが勧められているワクチン
法律(予防接種法)で接種することが勧められている定期接種は、原則無料(公費負担)で接種を受けられ(一部で自己負担あり)、副反応(ワクチンを接種することで起こる体に好ましくない反応のこと)による健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済制度による補償を受けることができます。
対象となる病気は、接種目的により、「A類疾病」と「B類疾病」に分類されています。
「A類疾病」は主に集団での予防(多くの人が予防接種を受けることにより社会全体が感染症から守られること)2)、重篤な疾患の予防に重点をおいているもので、接種の努力義務(法律上は強制ではなく本人の希望により接種すること)があります。A類疾病の対象となっている病気はジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・Hib(ヒブ:インフルエンザ菌b型)感染症(この五種は、五種混合ワクチンとして一度に接種することができます)、B型肝炎、小児の肺炎球菌感染症、結核(BCG)、麻しん(はしか)・風しん(この二種は、MRワクチンとして一度に接種することができます)、水痘(みずぼうそう)、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、ロタウイルスです。
「B類疾病」は主に個人の予防(予防接種を受けることにより個人が感染症から守られること)2)に重点をおいているもので、接種の努力義務はありません。B類疾病の対象となっている病気は季節性のインフルエンザ、高齢者の肺炎球菌感染症、新型コロナウイルス感染症です。
「任意接種」は希望者が接種するワクチン
任意接種は、国が使用することを認めているものの、予防接種法で規定されていないワクチンのことで、原則として希望者が自己負担で接種します(任意接種でも、公費負担制度を設けている自治体がありますので、詳細については、お住まいの自治体にお問い合わせください)。
副反応による健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)法に基づく救済制度の対象となります(予防接種法と比べて、救済の給付額は異なります)。
任意接種の代表的なワクチンとしては、小児に対するインフルエンザワクチンなどがあげられます。
「臨時接種」は感染症の緊急のまん延予防の観点から接種するワクチン
臨時接種は、緊急に感染症のまん延を予防する必要があると認めるときに、都道府県または市町村が実施主体となって行う臨時の接種のことです。
予防接種法に基づく臨時接種は、全額公費で負担(自己負担なし)され、副反応による健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済が受けられます。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001107265.pdf
2024/4/11参照
任意接種の対象となる病気は、どの年齢でもワクチンを接種することができる病気と、ワクチン接種の対象年齢が定められている病気とに分けられます。
1) 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」:A-02 定期接種と任意接種のワクチン (2024/04
作成ver.3)
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-02teikiseishu_20240401.pdf 2024/4/11 参照
2) 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」:A-01 予防接種の意義 (2024/04作成
ver.2)
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-01yoboseshu_20240401.pdf 2024/4/11 参照
2024年9月作成 VAC46O029A