帯状疱疹(たいじょうほうしん)について
帯状疱疹はどんな病気?
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘・帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスが引き起こす感染症です1-4)。ウイルスの名前の通り、水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因で、水痘に初めて感染し発症後、そのウイルスが体内の神経に残っていて、免疫が低下したときに潜んでいたウイルスが再び活性化して発症します(こちらを参照ください)。
感染経路
前に触れた通り、水痘・帯状疱疹ウイルスは、初感染で水痘を引き起こした後、生涯にわたって体内の神経に潜んでいます(潜伏感染といいます)1-4)。歳をとったり、疲労などによる免疫力の低下で、ウイルスが再び活性化して「帯状疱疹」を引き起こします1)。帯状疱疹は加齢に伴い増加する傾向があり、50歳代以降で罹患率が高くなるといわれています。帯状疱疹ウイルスは、水痘と同じウイルスのため、水痘にかかったことのない子どもが感染すると、水痘として発症する可能性があります1-3)。
どんな症状がでるの?
帯状疱疹の主な症状として、潜伏感染した神経が分布している領域の皮膚にピリピリした痛みが生じたり、小さい水ぶくれ〔水疱(すいほう)〕を伴った赤いブツブツができたりします1,4,5)。
帯状疱疹では、皮膚の病変が治っても数ヵ月~数年続く痛み、感覚異常に苦しむ患者さんがいます(帯状疱疹後神経痛)1,2,4,5)。帯状疱疹になった人の10~50%程度が帯状疱疹後神経痛を発症すると報告されていますが、高齢であればあるほど帯状疱疹後神経痛を生じる可能性が高まるとされています6)。
気になる症状を相談できる診療科
皮膚にピリピリした痛みや赤いブツブツなどの特徴的な症状があらわれます。帯状疱疹、水痘を疑う症状を認めたら、【子ども】
かかりつけの小児科、皮膚科などに相談してみましょう。
【大人】
まず、かかりつけの内科、皮膚科などへの受診をご検討ください。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチンについて
ワクチンの役割
ワクチンを接種することで、帯状疱疹の発症に加え、帯状疱疹後神経痛の予防が期待できます。また、たとえ症状が出たとしても軽症で回復していきますし、重症化しにくくなります(重症化予防)6)。
ワクチンを接種したいときの診療科
【子ども】
帯状疱疹ワクチンは、18歳未満への接種ができません。
【大人】
主に内科などで接種できます。接種医療機関の情報などについては、お住いの市町村にお問い合わせください。なお、帯状疱疹ワクチンの在庫状況などは医療機関によって異なりますので、事前に医療機関に電話などで確認してから受診するとよいでしょう。
帯状疱疹を予防するワクチン
帯状疱疹ワクチンは生ワクチン(50歳以上)と不活化ワクチン(50歳以上または帯状疱疹にかかるリスクが高いと考えられる18歳以上の人)の2種類あり(生ワクチン・不活化ワクチンについてはこちら)、いずれかのワクチンを接種します1,3,5,7)。
- 生ワクチン:乾燥弱毒生水痘ワクチン(注射)5,7)
- 帯状疱疹の予防を目的として、お子さんの水痘予防に作られた水痘ワクチンを大人が接種する
不活化ワクチン:乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(注射)5,7)
定期/任意接種、接種費用、助成、ワクチン接種のタイミング
2025年4月1日から、65歳以上の方などを対象に、帯状疱疹ワクチンの予防接種が、定期接種の対象になりました。定期接種対象外の方には、任意接種(原則自己負担)として、市町村によっては、助成制度があります。詳しくはお住いの市町村にお問い合わせください7)。
【定期接種:大人】
以下の条件に当てはまる人は、定期接種を受けられます7)。
- 年度内※に65歳
※年度の初日(4月1日)から当該年度の末日(3月31日)までの間にある者
60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害があり、日常生活がほとんど不可能な人
2025年4月1日から2030年3月31日までの5年間の経過措置として、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上(2025年4月1日から2026年3月31日までの間に限り全員対象)となる人
帯状疱疹ワクチンは、ワクチンの種類によって、接種回数が異なります。
生ワクチンの一般的な接種スケジュール3,7-8)

ただし、病気や治療によって、免疫の低下している人は接種できませんので、ご注意ください7)。
不活化ワクチンの一般的な接種スケジュール3,5,7-8)
2回接種です。また、水痘の予防接種には使えません。

ワクチンの副反応
生ワクチン7)
主な副反応は接種した部位の反応(赤み・かゆみ・熱感・はれ・痛み・しこりなど)、全身症状としてブツブツやだるさなど、重大な副反応として、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)、血小板減少性紫斑病(きゅうせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)、無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)などがあらわれることがあります。
不活化ワクチン7)
主な副反応は接種した部位の反応(痛み・赤み・はれ・かゆみなど)、全身症状として筋肉痛・疲労・頭痛・悪寒・発熱・胃腸症状・だるさ・その他の痛みなど、重大な副反応として、過敏症状(ショック、アナフィラキシー)などがあらわれることがあります。
- 1)厚生労働省:帯状疱疹ワクチンについて(2023年11月9日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001165467.pdf 2025/8/4参照 - 2)国立健康危機管理研究機構:帯状疱疹ワクチンの導入について
https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/8236-462r08.html 2025/8/4参照 - 3)予防接種ガイドライン等検討委員会執筆・監修:予防接種ガイドライン2025年度版 予防接種リサーチセンター:16-17・109-111,2025
- 4)Kimberlin DW, Banerjee R, Barnett ED, Lynfield R, Sawyer MH. Red Book: 2024-2027 Report of the Committee on Infectious Diseases. American Academy of Pediatrics. 2024.
- 5)日本ワクチン産業協会:予防接種に関するQ&A集, 193-209, 2024
http://www.wakutin.or.jp/medical/pdf/qa_2024.pdf#page=3 2025/8/4参照 - 6)国立健康危機管理研究機構:帯状疱疹ワクチンファクトシート第2版 2024年6月20日改訂
https://id-info.jihs.go.jp/relevant/vaccine/topics/140/Zoster_20241101.pdf 2025/8/4参照 - 7)厚生労働省:帯状疱疹ワクチン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html 2025/8/4参照 - 8)日本環境感染学会:医療関係者のためのワクチンガイドライン第4版,2024
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/vaccine-guideline_04-2.pdf 2025/8/4参照