黄熱(おうねつ)はどんな病気?
黄熱(おうねつ)は、黄熱ウイルスによって引き起こされる全身性の感染症です1-2)。黄熱と聞くと、黄熱の研究に尽くした野口英世を思い起こす人も多いでしょう。野口英世は研究途上で黄熱に感染し、命を落としました3)。
黄熱(おうねつ)は、黄熱ウイルスによって引き起こされる全身性の感染症です1-2)。黄熱と聞くと、黄熱の研究に尽くした野口英世を思い起こす人も多いでしょう。野口英世は研究途上で黄熱に感染し、命を落としました3)。
黄熱は、人から人へ直接感染しないとされており、日本脳炎と同様、蚊が媒介しますが、媒介する蚊の種類は異なります1,2,4)。熱帯に生息するネッタイシマカなどに刺されると感染します1,5)。
黄熱は、感染してから症状が出てくるまでの期間は3~6日間程度とされています2)。主な症状は、突然の発熱や頭痛、筋肉痛、嘔吐(おうと)などです1-2)。軽症の場合は1~3日で回復しますが、重症化すると黄疸(おうだん)、(いくつもの臓器からの)出血などがみられます2)。
黄熱は、流行している地域では亡くなる割合が5%以下ですが、免疫のない人(主に海外渡航者)では約60%に達するという報告もあります6)。
直前に黄熱流行国に渡航歴があり、突然の発熱や頭痛などの症状がみられた場合は、病院を受診してください。その際、黄熱流行国への滞在歴や黄熱ワクチン接種歴などを必ず医療機関に伝えてください。
【子ども】
かかりつけの小児科などに相談してみましょう。
【大人】
まず、かかりつけの内科などへの受診をご検討ください。
黄熱は、黄熱ワクチンの接種により予防できます4)。
黄熱ワクチンは、黄熱に感染するおそれのある国に渡航する場合に勧められています7)。
黄熱は、発症すると対症療法しかありません。ワクチンで予防することが重要です1,2)。
黄熱ワクチンは、検疫所、および一部の限られた医療施設など、国から指定された機関のみで実施されており〔世界保健機関(WHO)の国際保健規則に基づく〕1,5,6)、一般医療機関では接種できません8)。黄熱の感染が世界的に広まらないようにするため、流行地域に渡航する場合は接種が推奨されています。流行国・ワクチン接種機関は、以下のサイトからご確認ください。
【厚生労働省検疫所 FORTH 黄熱に感染するおそれのある国/黄熱ワクチン接種機関一覧】
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/yellow_fever_certificate.html
すべて予約制になっています1)。可能であれば、時間的な余裕をもって黄熱ワクチンの相談をして、納得したうえで接種しましょう。
黄熱ワクチン(注射)は、生ワクチンです(生ワクチンについてはこちら)7)。接種すると、渡航先で要求される「黄熱予防接種国際証明書(通称:イエローカード)」がもらえます7)。
黄熱ワクチンは任意接種です。任意接種は費用(原則自己負担)がかかります(任意接種についてはこちら)。
【子ども・大人】
接種は1回です。1回の接種で、イエローカードの有効期間は接種後10日目から生涯有効とされています。
黄熱ワクチンの製造には鶏の卵が使われているため、卵アレルギーが強い方、また、ゼラチンも含まれているため、ゼラチンアレルギーの方においても注意が必要です。また、黄熱ワクチンは生ワクチンですので、原則、妊婦または妊娠している可能性のある女性は接種できません。授乳中の人がやむをえず接種する場合は2週間以上授乳を避けます。
イエローカードは接種後10日目以降から有効となるため、黄熱ワクチンはイエローカードが必要となる国に入国する10日以上前に接種することが必要です。
黄熱ワクチンの主な副反応として、接種部位反応(痛み、赤み、はれ、しこりなど)、頭痛や発熱、筋肉痛などがみられることがあります6)。また、神経系障害や熱性多臓器不全などの発現が報告されています7)。